【感想】『どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール』(尾原和啓)
著者について
尾原和啓さんは、この本のサブタイトルもあるように、12社(マッキンゼー、NTTドコモ、リクルート、Google、楽天など)を経験していらっしゃる方です。他の著書に、『ITビジネスの原理』、『ザ・プラットフォーム』、『モチベーション革命』などがあります。
私はこの中では『モチベーション革命』だけ読んだことがありますが、「偏愛マップを見せ合おう」、「自分のトリセツを書こう」あたりの話がためになる本でした。
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私のピックアップ
これから実践できそうだなと思ったトピックのみ取り上げます。既に実践していることや、わかっていることには触れません。
第1章
自分がもつ知識はできる限りオープンにしたほうが得をする
本書を読むまでは、自分はできていると思っていました。
尾原さんの場合は、毎朝最低20人に相手に合わせた記事を一言添えて送っているそうです。
- 常に視点を変えながら読むので、20人分の視点を自分の中に持てる
- 仕事でも相手の視線に立って考えられるようになる
- インプットの量を無理なく確保できる
わたしの場合は、知っていることを聞かれれば答えるし、誰かの役に立つかもしれないと思ったときには文書としてまとめて公開していますが、ここまではしていません。
実際に最低20人に送らないまでも、論文や技術系記事を読むときは、他の人の視点を意識しながら読もうと思いました。
グーグルが最高のブレスト相手になる理由
- グーグルアラートに、出会った人のうち、これぞという人の名前を全部登録しておく
グーグルアラート、こういった使い方をしたことがなかったので目からウロコでした。
この節では他にもいろいろGoogleのサービスが紹介されていましたが、それらは私も使用しているのでここでは言及しません。
リクルートが大事にしたOBゾーン
「ここまではやるけれど、ここからはやらない」という線引を、ゴルフにたとえて「OBゾーン」とリクルートでは呼んでいるそうです。
私はゴルフを嗜まないので知らなかったのですが、ゴルフにおいて、OBはOut of Bounds(アウトオブバウンズ)の略で、 プレーが出来る区域外のことを意味するそうです。
OBゾーンには手を出さない
→美学やこだわりが生じる
→熱量が出る
→共感を呼ぶ
自分らしさが生まれて他との差別化要因ともなる
相手の期待値をコントロールする
- エクスペクテーション・マネジメント(期待値管理)
- 相手の期待を1%でも下回れば満足してもらえない、100%がスタートライン
- 期待値をある程度高めて相手の行動を引き出す
- それ以上は無理にあげない
- 本番では期待値をはるかに超えるサプライズを演出
頭ではこのようにすればいいのかとわかっても、実践までのハードルが高いです。
今まで期待値をコントロールしようと思ったことが無かったので、まずは意識するとこから始めたいと思います。
仕事ではまず、全体像と制約条件、意思決定のプロセスを押さえる
これができないと後々つらくなりますね。でも結構難しいですよね。
全体像を把握するフレームワークとして、MECE(ミーシー)というものがあるそうです。
MECEは、
- Mutually
- Exclusive
- Collectively
- Exhaustive
の頭文字を取ったもので、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」です。
重複が存在する集合に対しては使えません。
MECE - Wikipedia
また、資料づくりでは「ブランクチャート」という絵コンテを先に作るやり方があるそうです。
- 資料の全体のストーリーを作って各ページの役割分担を決める(課題、仮設、結論 etc.)
- 各ページの1行メッセージを考える
- 各ページの中身を吟味
この方法に「ブランクチャート」という名前があることは本書を読むまで知らなかったのですが、最近はこの方法で資料づくりを作るように意識しています。中身の吟味のほうが楽しいので先にやりたくなってしまいますが、構成は本当に大事ですね。
第2章
「始まりの場所」にいる大切さ
- 刺激があるから成長する
- 皆が一斉スタートである「始まりの場所」では、ベテランが多い場所と比較するとプロになれるまでの時間がそれ程かからない
- 最初からいる人は、発展しても、どこで何が起きているか大体わかったまま成長できる
「始まりの場所」の見つけ方
未来予測すると良いというお話を昨年聞いたなーと思い出しましたが、まだ実行に移せていません。
未来予測の資料を読むコツは、最新版を読むときに1年前と3年前のものを同時にチェックして、何が当たったか、何が外れたかを書き出すことだそうです。これは少しずつやっていかないと、できるようになっていかなそうだと感じました。
おわりに
本書の「おわりに」の部分に、
いつものように、ぼくの本にはオリジナルなことなんて何一つありません。みなさんからいただいた言葉を自分なりに咀嚼して、言いかえていった言葉を連ねています。
とあるのですが、確かに書いてあるトピック自体は、よく耳にするものも多いのですが、とにかく尾原さんは実践力がすごいのです。私の場合ビジネス書を読むときは、最初に目次を読んで、ある程度内容を推測してから読み始めるのですが、どの章・節を読んでも、ここまで実践するのかと感銘を受けました。